いま、介護スキマバイトの世界で 「地域特化」 という新しい流れが生まれています。 北海道発のもん助はその先駆け。 2025年からは 厚生労働省も後押し を始め、これから全国各地で似た取り組みが生まれていく可能性があります。
この記事では、もん助のはじまりから、業界全体の動き、そして「これから、わたしの街にも地元のスキマバイトが」を語っていきます。
01.なぜいま、「地域特化」が必要なのか
介護の人材不足。 ニュースで何度も聞く言葉ですが、実は 地域によって深刻さがまったく違う ことをご存じでしょうか。
東京や大阪のような都市部では、カイテクやUcareのような全国アプリで十分に求人が見つかります。 でも、地方や郊外では同じアプリを使っても求人がほとんど表示されない——そんな声を、隊員さんから何度も聞いてきました。
これは、全国アプリが悪いわけではありません。 ビジネスとして成り立たせるには、ある程度の規模感が必要で、人口の多い地域から順番に対応エリアが広がっていくのは仕方ないこと。 でも結果として、「地元で介護資格を持っているのに、近所で働ける単発の仕事がない」 という人たちが、全国にたくさんいるのです。
- 厚生労働省の推計では、2040年に介護職員が約57万人不足。特に地方の不足率が高い
- 有資格者で現場を離れている「潜在介護福祉士」は全国に約60万人と推定
- 札幌だけで もん助には3,400人超の有資格者 が登録(2025年4月時点)
この潜在介護福祉士の方々を、もう一度現場に呼び戻すには。 ——その答えのひとつが、「地域特化スキマバイト」 という新しい働き方の形だったのです。
02.先駆者「もん助」の、はじまりの物語
2023年4月、北海道・札幌からひとつのアプリがリリースされました。 その名は もん助。 運営は、地元介護法人の株式会社さくらコミュニティサービスと、テレビ局のHBC北海道放送です。
実は、このアプリは 「ふつうのIT企業」が作ったものではない ところが大きなポイントです。 介護の現場を知る法人と、地元で50年以上信頼を積み上げてきた放送局。 そして、人材確保を真剣に課題と捉える札幌市。 ——この 三者の協力 から生まれたのが、もん助でした。
介護法人
さくらコミュニティサービス。現場の課題と人脈を提供。
地元メディア
HBC北海道放送。CMでの認知拡大と地元での信頼を担保。
自治体
札幌市。介護人材確保事業の一環として連携・後押し。
1年で見えてきた、確かな成果
サービス開始から1年で、登録者は 有資格者3,400人超、マッチング件数 2,400件超 に到達。 北海道新聞でも特集記事が組まれ、札幌市の公式ポータルでも紹介されるようになりました。
「即戦力というより、採用活動の一環として使っている」。 法人は実際の働きぶりを見て、有望な人をスカウトし長期雇用を打診する。
— 札幌市・社会福祉法人ノテ福祉会の事例(北海道新聞報道より)スキマバイトは 「一日働いて終わり」ではなく、施設と働き手の出会いの場 になっている。 これはとても象徴的なエピソードだと、わたしたちは思っています。
03.厚生労働省も後押し。動き始めた国の支援
2025年、もうひとつ大きな動きがありました。 厚生労働省が、介護スキマバイトの取り組みを国として支援する 方針を打ち出したのです。
日本経済新聞の報道によると、2025年度から一部の自治体で実証事業が始まっています。 介護事業者がアプリを使って未経験者を集める仕組みを後押しし、送迎や清掃などの資格不要な業務を切り出して募集できるよう、自治体経由でアプリ利用費を補助する。 2024年度補正予算には、この関連経費が盛り込まれました。
- 介護事業者がスキマバイトアプリを使う費用を、自治体経由で補助
- 送迎・清掃など無資格でできる業務を切り出して募集できる仕組み作り
- 学生や副業者など、新しい働き手の流入 を目指す
この動きが意味するのは、地域特化スキマバイトが「ローカルな実験」から「国の政策」へとステージを変えつつある ということ。 もん助が示した「自治体・メディア・介護法人の連携モデル」が、これから全国で再現されていく可能性が、現実味を帯びてきました。
04.これから、どの地域で生まれそうか
わたしたちは確実な予測ができる立場ではありませんが、もん助の成功要因を踏まえると、次に地域特化アプリが生まれそうな地域の条件 は見えてきます。
もん助モデルが生まれる「3つの条件」
①介護人材不足が深刻、②地元有力法人が存在、③地元メディア(テレビ局・新聞)や自治体が動ける。 この3つが揃った地域が、有力候補と言えそうです。
🍢東北エリア
仙台を中心に、人材不足は深刻。地元放送局・地元法人が動けば、もん助モデルが再現される可能性。
🌊九州エリア
福岡を起点に、医療・介護法人が多数。地域ネットワークの密度が高く、ローカル連携が機能しやすい土壌。
⛰中国・四国エリア
広島・松山など、地方都市規模での介護需要が一定以上ある地域。県単位の連携が現実的。
🌺沖縄エリア
島嶼部の人材移動の難しさが課題。地元密着型アプリの恩恵が大きい可能性があります。
もちろん、これらはあくまで 可能性。 実際に動くかどうかは、地元のキーパーソンがいるか、自治体が動けるか、で決まります。
でも、ひとつだけ確かなのは——「全国アプリだけでは届かない場所」が、確実にある ということ。 そこに、地域特化型サービスが生まれる必然性があるのです。
05.働き隊の、これから
わたしたち「ちょこっと働き隊」は、これからもこの業界の変化を見つめ続けます。
新しい地域特化アプリが生まれたら、すぐに調査して、隊員のみなさんに紹介します。 全国アプリの拡大エリアも追いかけて、お住まいの地域で本当に使えるサービスを、いつもいちばん新しい情報でお届けしたい。
いまはまだ、もん助が地域特化の唯一の選択肢です。 でも、数年後には「東北のあのアプリ」「九州のあのアプリ」と、自分の街の名前が出てくる日が、きっと来ます。
「ちょこっと働き隊」は、いつも隊員さんのいちばん近くにいたい。
全国の働き隊員さんが、ご自身の街でちょっとだけ働ける、その日を願って。
もしお住まいの地域で、新しい地域特化アプリのうわさを聞いたら、ぜひ 本部までお知らせ ください。 わたしたちが調査して、すぐに記事を更新します。
この記事の執筆 — ちょこっと働き隊 本部
介護・看護の現場を取材し、隊員のみなさんに本当に役立つ情報をお届けしています。記事の内容についてのご質問はお問い合わせフォームまでお気軽に。